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弁護士法律相談 No 0072
相談者の情報
女性 35歳 専業主婦 日本
配偶者の情報
結婚 5 年 42歳 派遣・パート その他
現在の悩み、状況について
年明け早々住み慣れた日本から主人の実家カナダへ住居の場を変えましたが引越しが決まる半年位前から離婚を考えており、親権裁判を起こそうとした矢先に突如主人が「永住権が欲しけりゃ俺も俺の家族もお前を助けるから、裁判は考え直して欲しい。自国に戻れば俺の性格も変わるから」と言う言葉を信じ引越しを決意。 しかし最初から移民申請のスポンサーになる気はなかったらしく、暴力はふらくなったものの言葉の暴力、精神的な虐待は以前より増してます。 不法滞在になるのが嫌なので観光VISAの切れる前に帰国しようと思ってますが一人娘に関して、主人も主人の母も私に返す気はないらしく、強制的に娘と離れさせられるのが納得いきません。娘のパスポートも義理母が管理しています。 義理母は話のわかる人ですが孫娘とはどうしても離れたくないとの事。主人は日本滞在中も幾度か警察沙汰を起こしており(万引き、器物損壊、傷害等)お金に関してもルーズで日本での税金2年以上未納、カードの支払いも未納です。 自国でも理由は分からないけど刑務所に入ってた時期があったようです。(おそらくマリファナのバイヤーをして)ハーグ条約を読み日本に戻って親権裁判をすべきかこの 国で裁判を起こすべきか色々悩んでます。アドバイス宜しくお願いします。
理想的な状態
本当は娘が好きな方を選ぶのが理想ですが、5歳の子にはまだ無理。この喧嘩 の絶えないトラブルばかりの主人の実家に娘を置いて置くのは教育上良くない と思うので、私と娘が一緒に暮らした方がいいと思ってます。主人や義理母に 面会するのは構いませんが、国が異なると経済的に困難なので年1回が妥当で しょう。その上で将来ハーフである娘がカナダ国籍を望むのであれば、それは 娘本人が決めたことだから構いません。 
回答
1 カナダで裁判をする場合
カナダ法が適用されますので、カナダで裁判する場合の見通しは、カナダの弁護士に 聞いて下さい。ただし、相手方の申立てにより、出国禁止命令が出される場合が ある上、どの国でも、外国人は不利ですので、あまりお勧めできません。

2 日本で裁判する場合
(1) 日本で裁判する場合、相談事例では、原則として、日本法が適用になります。日本法では、親権は、実際の養育者有利、女性有利です。 したがって、親権が第一であれば、日本で裁判するほうがよいでしょう。 ただし、日本で裁判をするためには、子どもを連れて日本に帰国する必要があるほか、帰国を余儀なくされたといえる事情(暴力や暴言も、その事情となり得ます)が必要です。
(2) 養育費の支払いを命じる日本の判決も、理論的には、カナダでの強制執行が可能ですが、そのためにはカナダの弁護士に依頼する必要があるほか、後述の理由から現実には難しいと思います。

3 帰国について
(1) パスポートについて 仮にパスポートを紛失すれば、日本大使館で旅券ないし臨時旅券の発行を受けることができます。義母が管理しているとすると、再発行を受けられない可能性があります。
(2) 親権者誘拐について 帰国については、相手方の同意を取るのが原則ですが、メールからすると、これは難しそうですね。裁判所から帰国の許可を取得する方法もありますが、日本はハーグ条約に加入していないので、許可を取るのも難しいと思います。 同意も許可もなく帰国すると、親権者誘拐罪が成立します。カナダ国内で逮捕された場合、実刑もあり得る上、相手方に単独親権が認められる可能性もあります。なお、同意なく帰国しようとしているところを発見されると逮捕される可能性があります。 ただし、日本では、親権者誘拐は犯罪ではなく、親権の裁判でも大きな問題とはされないため、子どもを連れて帰国する方も大勢います。これは、将来的には国際問題となるでしょうが、現在のところ、少なくとも日本では政治問題化していません。
仮に、相談者について親権者誘拐が成立した場合、日本国外に再度でかけることにリスクが発生し、今後海外に行けなくなる可能性があります。