離婚相談のリコナビTOP > 養育費の算定について
●養育費算定表
養育費算定表とは、養育費などの算定の簡易化・迅速化を目的として、過去データを元に裁判官らによって作成されたものになります。
養育費の金額を定型的に分かりやすくまとめてあるので、特別な知識が無い方でも簡単に個々人のケースに当てはめて養育費を算出する事が可能となります。
厚生労働省が公的指針として定め、全国の家庭裁判所でも実務に使用されている為信頼性は高いものとなります。
●生活保護基準方式
生活保護基準方式とは、厚生労働省の定める生活扶助基準を元にして作成された算定方式により養育費を決める方法となります。
この方式は、夫婦の収入や家族の年齢などを計算式に代入し月々の養育費を算出する為、各家庭の収入に合った養育費を算出できる事が利点であり、これまで養育費算定の主流として用いられてきました。
ただし、数式に用いる基準額は生活保護を対象とする世帯の家計を対象としている為、一般家庭と比較した場合、養育費が低く算出される傾向にあります。そのため・算出された養育費にある程度の金額を加算したものが養育費の決定に使用されています。
●労研方式
労研方式とは、労働科学研究所の調査に基づき作成した算定方式となります。生活保護基準方式と同じような計算式となりますが、作成された1952年当時の生活や消費形態の調査に基づいて数値が算出される為、現代の家計にそぐわない場合が多くあります。
●実費方式
実費方式とは、夫婦双方の生活に掛かる実費を比較し養育費の分担割合を決定する方式です。家庭裁判所では、過去実費方式によって養育費の算出を行っていましたが、収入や資産が考慮されないという理由から現在は使われていません。
養育費の算定所についてはコチラからリンクされています。
上記の算定書は、東京・大阪の裁判官の共同研究の結果作成されたものとなり、東京・大阪の家庭裁判所ではこちらの算定書が参考資料として広く使用されています。
●養育費の算定表の種類
子の人数(1〜3人)と年齢(0〜14歳と15〜19歳の2区分)に応じて表1〜9に分かれています。
●算定表の使用手順
<表の見方>
どの表も、縦軸は養育費を支払う親(義務者)の年収、横軸は子を引き取って育てている親(権利者)の年収を示しています。
縦軸の左の欄と横軸の下の欄の年収は給与所得者の年収を示しています。
縦軸の右の欄と横軸の上の欄の年収は自営業者の年収を示しています。
<年収の求め方>
義務者と権利者の年収を求めます。
@給与所得者の場合
源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収にあたります。
尚、給与明細書による場合は、記載されている金額が月額にすぎない点と歩合給が多い場合には変動が大きく、さらに賞与や一時金が含まれていない点に留意する必要があります。
他にも、確定申告していない収入がある場合にはその収入額を支払金額に加算して給与所得として計算する必要があります。
A自営業者の場合
確定申告書の「課税される所得金額」が年収にあたります。
尚、「課税される所得金額」は税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(例えば基礎控除、青色申告控除、未払いの専従者給与など)を加算して年収とすることになっています。
B児童扶養手当等について
児童扶養手当や児童手当等の社会保障給付は権利者の年収に含める必要はありません。
<金額の求め方>
子の人数と年齢に従って使用する表を選び、その表の権利者及び義務者の収入欄を、給与所得者なのか自営業者なのかの区別に従って選択します。
縦軸で義務者の年収額を探し、そこから右方向に線を延ばし、横軸から権利者の年収を探して線を上に伸ばします。
伸ばした線の交差する欄の金額が義務者の負担すべき養育費の標準的な月額となります。
それぞれの表には、養育費の額を義務者の年収が少ない場合は1万円、それ以外の場合は2万円の幅を持たせて記載しています。
●子1人当たりの額の求め方
子が複数の場合、それぞれの子毎に養育費額を求める事が出来ます。
算定表上の養育費額を子の指数(親を100とした場合の子に充てられるべき生活費の割合。統計数値から標準化したもので、子が0〜14歳の場合は55.15〜19歳の場合は90となっています。)で按分して求めます。
例えば
10歳の子と15歳の二人の子がいて、養育費の全額が5万円の場合。
10歳の子・・・2万円=5万円×55÷(55+90)
15歳の子・・・3万円=5万円×90÷(55+90)
●注意事項
算定表は、あくまで標準的な養育費を簡易迅速に算定する事を目的としており、最終的な養育費の金額については様々な事情を考慮して当事者の合意で自由に定めることが出来ます。
しかし、様々な事情とはいえ、通常の範囲の物は標準化するにあたって算定表の金額の幅の中で既に考慮されていますので、この幅を超えるような金額の算定を要するのは、算定表により算出する事が著しく不公平となるような特別な場合に限られます。
また、算定表の金額は、裁判所が標準的なケースについて養育費を試算する場合の金額と一致すると考えられますが、様々な事情の有無などにより、裁判所の判断が算定表に示された金額と常に一致するとは限りません。